【カメラコラム】SONY RX1RM3が高い理由。

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ソニーは2025年8月、プロ写真家の使用にも対応するハイエンドコンパクトカメラの新モデル「DSC-RX1RM3」を約10年ぶりに投入した。
高精細な描写力と高速オートフォーカスを実現し、かつてのフラッグシップ機を大きく進化させた。
生産終了から年月を経ての復活となり、同社は「後継を望む多くの声に応えた」と説明している。
販売価格は66万円前後とかなり高額な価格設定。
カメラメーカー各社、コンデジブームに対応して新機種を発表しているが、DSC-RX1RM3の66万円前後はかなりの高額。
DSC-RX1RM3なぜこれほどまでに高いのか?を調べてみた。

SONY RX1RM3の概略

有効最大約6100万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」を搭載。
レンズは一体型設計で、ツァイス・ゾナーT 35mmF2という単焦点レンズを搭載。
3.0型液晶モニターを装備し、カメラ重量は、約498gと小型・軽量。
画像処理エンジン「BIONZ XR」、「AIプロセッシングユニット」を搭載して高精度な被写体認識が可能となっている。

SONY RX1RM3の概略

Sony DSC-RX1RM3(RX1R III)が非常に高価に設定されている理由には、単なる製造コスト以上の哲学的・戦略的な背景があります。市場では「過剰」「割高」と言われる一方で、「ありえない技術力」として評価する声も多くあります。2025年発売時点での標準価格は約 5,098ドル(約75万円前後)です。
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そこで、「なぜこんなに高いのか??」を分かりやすく整理していきます。

圧倒的な写りと画質:61メガピクセルのフルサイズセンサー

このカメラは、撮像素子に次世代機と言われた「61 メガピクセルのフルフレーム裏面照射型(Exmor R)CMOSセンサー」を搭載しています。

ISO100~32000、15段階のダイナミックレンジ
レンズに光学ローパスフィルタがなく、驚異的な解像力
61MPという“ウルトラ高解像度”は中判カメラと比較されるレベル。

これを手のひらサイズのボディに搭載すること自体が非常に技術力を要し、製造ロットも少ないことから部品・センサーは超高コストです。

「究極」を追求した小型設計

RX1R IIIの真価は「サイズにフルフレームが入っていること」にもあります。
全幅わずか約113.3 mm、重さ約496g(バッテリー込み)という超コンパクトなフルサイズは、どんな一眼レフ+レンズよりも圧倒的に小さい。
これは製造では非常に「非効率」で、部品配置や冷却・光学設計が複雑になります。

マイクロフォーサーズの数倍の構造設計なため、量産化が困難で価格に反映されるのです。

高精度のレンズ:「ZEISS Sonnar T* 35 mm f/2」

同機に組み込まれるレンズは、創業90年以上の名工ツァイス(ZEISS)が精度を追求し、1本ずつマウント位置までミクロン単位で設計調整されています。

コーティングや面精度など、単体としても高価な製品
交換レンズシステムではないとはいえ、レンズ自体が資産価値に匹敵するレベル 
昔から、生産台数限定のハイエンドレンズは腕時計や絵画のように価値が残ります。

先進的な処理エンジンとAIフォーカス

RX1R IIIには、上位機種のαシリーズと同等クラスの**「BIONZ XR」画像処理エンジン + AIユニット**が採用されています。

被写体認識は693点に及ぶ位相検出AFで領域の78%をカバー
AIによる顔・瞳・体・動きの自動認識
高速&高精度なフォーカス、「動体・昆虫AF」など応用性が高い

この性能はコンパクト機として唯一無二で、開発・チューニングにも膨大なコストがかかっています。

広告・スペックでは埋められない“存在価値”

最後に忘れてならないのが、RX1ブランドの「象徴的存在価値」です:

Fujifilm X100VI:APS-C、約1599 USD
Leica Q3:フルフレーム、約6735 USD
Sony DSC-RX1RM3:フルフレーム(超小型)、約5098 USD

「コンパクトの極限」を追求するという執念

RX1シリーズは、2012年の初代から「フルサイズをポケットに入れる」という、常識外れの命題に挑戦してきたカメラです。
つまり、“サイズの制約を受けず、最高画質をどこでも持ち歩ける”という夢を、技術で無理やり実現した唯一のカメラなんです。

普通ならミラーレスでも大型化するところを、ボディ内にセンサー、シャッター、EVF、AFモジュール、35mm F2レンズを内蔵。

熱処理、電磁シャッターの微細設計、光学補正など、すべてが“限界まで詰め込まれた工芸品”といっても過言ではありません。

この開発思想自体が、他社が真似できない“価格に反映される価値”なのです。

製造コストと歩留まりの悪さ(≒職人カメラ)

RX1Rシリーズは、大量生産に向かない構造をしています。
理由は単純で、「小さすぎて組み立てに手作業が必要」だから。

レンズとセンサーは個別ペアリングされ、装着後に光軸補正とAF校正が行われる(※マウント交換式ではないため)
ZEISSレンズは日本国内の高精度ラインで組まれ、わずかなズレでも性能が変わるため、歩留まりが非常に低い

つまり、「職人が一つずつ組む」ような製品なのです。
そのため、利益率を上げないと採算が取れない。

「レンズ交換できないのに高い理由」

よく言われるのが、「レンズ固定式なのにフルサイズで75万円は高すぎる」という批判。

しかし、RX1Rシリーズの設計はレンズとセンサーが一体最適化されており、
他のミラーレスとは根本的に違います。

通常の交換レンズでは、フランジバック(マウントからセンサーまでの距離)を確保する必要がある。
RX1ではそれを極限まで短くして、レンズの後玉がセンサー直前まで届く設計。

結果として、光学的な歪み・収差が最小限。
35mm F2という開放値でも、四隅まで極めてシャープ。

つまりこれは「固定レンズ」ではなく、
“一体化した光学システム”=1本の完璧なレンズ付きカメラなのです。

ライカQシリーズとの比較で見える哲学の違い

Sony RX1R III

センサー:61MP フルサイズ BSI CMOS
レンズ:ZEISS Sonnar 35mm F2
サイズ:113×65×70mm/約500g
ビューファインダー:EVF内蔵(ポップアップ)
価格:約75万円前後
世界観:技術主義・ミニマリズム

Leica Q3

センサー:60MP フルサイズ CMOS
レンズ:Summilux 28mm F1.7
サイズ:130×80×92mm/約740g
ビューファインダー:内蔵OLED
価格:約95万円前後
世界観:職人主義・クラシック志向

ライカは「美学・素材・歴史」に価値を置くのに対し、
RX1Rは「技術・コンパクト化・設計思想」に価値を置く。
つまり、方向性が真逆ながら、どちらも“究極の単焦点フルサイズ”を目指した到達点です。

そのため、ライカQと比較されることが多いものの、
RX1Rはむしろ「ソニーの技術的芸術作品」といえます。

RX1R III は「商品」ではなく「宣言」

最後に、ソニーがこのシリーズを出す本当の理由。
それは「儲けるためではなく、技術の象徴として存在させている」という点です。

RX1シリーズは、“私たちは、世界最小のフルサイズ高級機をつくれる”というブランドメッセージの体現です。
生産台数は少なくても、この存在があることで、αシリーズ全体のブランド価値を押し上げている。

つまり…
RX1R IIIは「高価なカメラ」ではなく、
**“ソニーの思想を可視化したフラッグシップアート”**なのです。



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