【作品考察】川内倫子の写真展「M/E」を観に行ってきました。読み解きと印象 滋賀県立美術館

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川内倫子の写真展「M/E」を観に行ってきました。滋賀県立美術館

2023年2月、滋賀県立美術館へ川内倫子の写真展「M/E」を観に行ってきました。
この展示は、先に東京オペラシティーで開催されたものをそのまま?滋賀へ持ってきたもののようです。
オペラシティとは規模が違うだろうと思っていましたが、webで見た様子などからして、かなり近い展示になっていたのでは?という大きな展示になっていました。

展示の構成

展示全体の雰囲気は写真を参照^^
特に、大判の写真展示に加え、ムービーの展示がいくつもあって、10分前後のものから60分を超える長尺のものまであったようです。私は、全部見たつもりだったのですが、60分の動画はさすがに気づかず途中で切り上げてしまいました。
また、見どころの一つは、子宮を模したとされるカーテンの展示。不思議な雰囲気のインスタレーションになっていました。

印象と読み解き

展示を全て観て回った感想は…「この世界のこと」です。
写真はいろいろな展示がされていましたが、通して感じるのは、「こんなものがある、こんなものもある」と世界のあらゆるもの取って来て目の前に出してくる感じ。すると自然にこの世界のことを思い感じることになる。
そして、それらの写真が、光に溢れてて眩いものだったり、幸福で儚いものだったり、壊れやすさや、全てが自分の暮らしの延長上にあることがわかる気がする。

写真一枚一枚

こうして見てくると気になるのが、写真一枚一枚はどうなっているか?ということ。
つまり一枚の写真はどういう機能を持っているか?
感じるのは、一枚一枚の写真が展示全体のテーマをまるごと表しているわけではないということ。一枚の写真は、一つのモチーフを提示していて、しっかりとそれに向き合っている感じはある。パズルのピースという感じ。

川内さんの過去の写真集では、写真一枚一枚は必ずしも見た目の派手さや単純な美しさがあるかといえばそうでもなかった。が、今回の展示では、一枚絵として成立するような美しい写真が多い気がする。いつもより見栄えがする。
写真集や複数展示の写真は、その一枚を抜き取ってもあまり意味がないと思ってしまう私だけど、今回の写真は一枚でも単純に美しい。これはどういうことなのだろう…?

図録の解説とインタビュー

会場で購入した図録には、川内さんと理学博士の佐治晴夫さんの対談が載っていて、ここで少し種明かしがされている。
今回、川内さんの写真に一貫して感じられる、自然、人間、地球、宇宙…と言ったもののイメージは、佐治博士の著書「女性を宇宙は最初に作った」などからインスピレーションを受けていることは間違いないよう。
普段、普通に生活していては思いもつかないようなミクロ・マクロな視点に、感覚を研ぎ澄ましたり、物事を考え直す作業をしているように思う。

そこから考えたこと

そんな展示を観て思うことは、世界=地球はこんなに多様で、美しく、儚く、時にマクロで時にミクロで、繋がっているということ。
だから、目の前のことや毎日の生活に固定されがちな見方や考え方を、オープンにしたり次元を変えたり、マクロに引いて見たりすることが必要で、全ては他人事ではなく繋がっている、一つの星の上で起きていることだと再認識しようと言っているよう。

川内倫子さんという写真家

「うたたね」でデビューして、自分の手の届く距離の世界から始まった川内さんの写真は、おそらく本能的に撮りたいものを撮って、どんどん広がっていき、今はもう宇宙まで広がりそうなことになっている。
ガーリーフォトと言われた初期のころからこんなセンスはあったんだろうか?と気になる。今となっては、地球規模で作品を制作する作家になってしまった。
まあ、「うたたね」は当時としてもそれまでにないイメージを見せた革新的な写真集だった。写真の地図に新しい点を打った。
実は、「うたたね」のふんわりイメージに隠れて中身は本筋の写真家だった。世間は、いつまでもそこを見誤っていたんだな…。

カメラ:Canon G1X、Fujifilm X100F

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