李 禹煥
(Lee Ufan、1936-)
『点より』
(From Point) pic.twitter.com/KndUJOeDdt— 絵画の名前 (@artstitle) August 11, 2023
2025年7月5日の対話鑑賞のメモです。
今日のお題は、リウーファン(李禹煥)の「点より」。
(X・twitterに画像の投稿があったのでシェアさせてもらいます。)
作品は、3m×2mほど?の大きなもので、
生成りのカンバスに、紺色の四角いハンコが押されていて、画面を埋め尽くしている。
ハンコは、左から右へ押すため、かすれて消えていく。
こんな作品。
今日の「対話鑑賞」は、スタート時に参加者は私一人だったので美術館のスタッフの方が2人参加して全3人の会となりました。
いつもは、見ず知らずのお客さんが参加されているので、おとなしく?発言などしているのですが、今日は美術館の方だし何度かお会いしている方もおられて、ちょっとタガが緩んでしまって失礼をしてしまいました(すみません)。
対話鑑賞始まり。
まずは、いつものように2分間じっくり作品を見ます。
いつもながら、私はこの時真っ白です。何もわからない。
ファシリテーターさんから、第一印象を聞かれてみんなで意見を出し合います。
・描き方として、魚拓の「たんぽ」に絵の後をつけて押し付けてかすれては、絵の具を足して押し続けている。
・絵を横から見ると、点の集まりが波のようにも見える。
・テキスタイルの布のよう。
・ハンコが消えていくイメージが、デジタル的で、点滅しているよう。
・情熱大陸のOPやマトリックスのテキストがしたたるのような映像イメージ的。
と、こんな感じ。
ファシリテータさんがこれらをまとめ広げていくと、さらに読み込みが進む。
この辺りから、参加者が会話するように対話が続いていく。
・全体を引いて見ると、渋谷の雑踏を見ているような感じになる。
・空から降ってくる宇宙線を可視化した時のようなイメージを感じ、自然の何かを見せているよう。
・ハンコの並びが、縦ではなくて横に移動しているところに、自然ではない人為的など力が働いていると感じる。
・やはり、デジタル的なイメージを感じ、何かを意味するデータの並びのような意味も感じて来た。
・自然な何かと聞くと、ハンコを押した一つ一つが、中空で細胞壁を持つ細胞のようにも見える。
この辺りで、シンプルなハンコを押しただけのイメージから、いろいろな見え方をしてさまざまなイメージが見えているが、
これらは作品のいくつものレイヤーを取り上げているだけで、実はまとめて全てが作品イメージなのでは…と思えて来た。
そこで、一人の方が、
・何かを意味するデータの並びが、「メッセージ」なのでは?と思えた。
と、発言した。
これはすごくうまい仮定だと思った。
それまでの、絵画の表層から感じる印象を出し合っていたところから一歩先に進んで、作品が何を語ろうとしているか?の本質を仮定したようだった。
この辺りで、対話鑑賞の時間は終了。
しかし、いつものようにその後も頭の中では対話鑑賞が続いていく。
続きは…
これを聞いてしまうと、一気にそちらの読みに傾いてしまう(メッセージの件)。
そういわれると、デジタル的に見えていたキューブの並びがプリミティブなプログラムのコードに見えて、全体として「メッセージ」を伝えるような塊だ…というと、まさにそんな風にも見えてくる。
それは、どんな「メッセージ」を言おうとしているのか?ということではなくて、「メッセージ」という箱を表現している作品…ということなのでは?と思うと、作品としてもしっくりくる。
そう、この作品は「メッセージ」を表現した抽象画…ということだ。
そこまでは純粋に作品を見て感じることベースで鑑賞を進めていた。
しかし、帰りの車の中で改めて「リウーファン」の作品であるということを頭に入れて反芻していると…
リウーファンは「もの派」の中心人物で「禅」の思想にも深く影響を受けている…といううろ覚えを思い出した。
そう思うと、彼の他の作品が非常に「禅」的であるのがよくわかる。
「禅」は「無」に帰ろうとする傾向があったりして、「リウーファン」作品や「もの派」の作品とマッチする。
だから、禅の世界観をよく知っている人が「リウーファン」の作品を見ると、一気にこれは禅の世界を描いているな…と、見えたりするのかもしれない。
この辺り、知識があれば、かなり「リウーファン」の意図に近いものを読み取れるのでは?と思った。
また、この作品はあるネット情報では1980年制作…となっていて、それだと2025年に感じるデジタルイメージはあまり関係ないと言えるかもしれない。
だとすると、デジタル→プログラムコード→メッセージ…という読みは若干外れてくる。
しかし、あるバックボーンを持った人間が、抽象イメージを自分の知識に照らし合わせて読み解いた「意味」というのは、十分意味があるのではないか、これも「鑑賞」なのではと思ったのでした。
これが今回のまとめ。
今回は、実は学芸委員さんが入っておられて、対話鑑賞の終了後に無理を言って、
もの派のリウーファンが描いている…という点から、この作品はどのように読み解けるか…何かヒントをもらえませんか?
と、お願いしたところ、個人の見解ですが…とおっしゃって少しレクチャーをしていただきました。
とても勉強になるお話で、とてもいい経験になりました。
ありがとうございました。
こんな風に、県美の「対話鑑賞」がとても面白いのです。
ぜひ一度体験されて見ることをおすすめします^^。
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滋賀県立美術館の対話鑑賞の概要は…
・開催日 毎週 土、日曜日(休館日を除く)
・時間 1回目 11:00〜11:30
2回目 13:00〜13:30
・集合場所 展示室1、2前
・定員 各回10名程度(先着)
・対象 どなたでも
・内容 展示室1または2に展示されている作品の中の一作品を、対話をしながら鑑賞します。
※ファシリテーターが選んだ作品で対話鑑賞をします。鑑賞する作品は、当日美術館エントランスでお知らせいたします。(1回目と2回目で違う作品を対話鑑賞する場合があります)
※時間の変更やプログラム中止の場合があります。美術館ホームページの「お知らせ」をご確認ください。
詳しくはリンク先を見てください。
・滋賀県立美術館の「対話鑑賞」
https://www.shigamuseum.jp/learn/vts/
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投稿者プロフィール

- 写真作品の制作を思い立って、調べ始めるとそれは現代アート〜美術史につながっていた。そんなことで美術全体を調べはじめたところ。
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